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ゲームプレイ後に「課題遂行能力」が
向上することが明らかに
~継続的なゲームプレイにより
さらなる向上も~

2021.01.26ニュース

近年、eスポーツの人気により、国内におけるゲームへの興味関心がさらに高まりを見せています。新型コロナウィルスの影響で、密を避ける屋内アミューズメントとしてもeSportsが注目されており、若年層の「なりたい職業ランキング」ではゲーム制作関連やeスポーツプレイヤーが上位にランクインするなど、ゲームの存在感が非常に高まっています。
ゲームプレイヤーのプレイ時のパフォーマンスを様々なアプローチで検証し、ポジティブ、ネガティブ両側面を可視化する事でゲームを活用したより豊かなウェルネスライフが創出できると考え、今年2月に九州産業大学人間科学部准教授(鹿屋体育大学客員准教授)(※)萩原悟一氏、鹿屋体育大学体育学部教授竹下俊一氏の監修のもと、株式会社ゲームエイジ総研、株式会社産経デジタル、日本ユニシス株式会社、ヒューマンアカデミー株式会社、レノボ・ジャパン合同会社の計5社でGame Wellness Project (ゲーム ウェルネス プロジェクト)を設立いたしました。
※ 萩原氏は、2020年2月当時、鹿屋体育大学 准教授

今回の検証ではeスポーツタイトル(FPS系)のプレイが「課題遂行能力」に与える影響を検証しました。

【調査結果サマリー】

【検証】ゲームプレイが与える「課題遂行能力」への
影響について

- ゲームをプレイすると課題を早期に発見し、
解決に向けて対処する力である
“課題遂行能力”が向上することが明らかに

- 継続的なゲームプレイにより、日常における
課題遂行能力が向上する可能性も

【検証方法】

調査対象:ヒューマンアカデミーeSports学科に在籍する学生に在籍する学生4名、講師(プロ)2名

測定指標:トレイルメイキングテスト2種類(TMT-Aタイプ、TMT-Bタイプ)

プレイしたゲームジャンル:FPS(シングルプレイ)

検証の手順

ゲームプレイ前にトレイルメイキングテスト(TMT)を行ない、その後40分間ゲームをプレイ。

ゲーム終了後に再度トレイルメイキングテスト(TMT)を実施し、ゲームプレイ前後の記録を比較。

これを3地点で検証する(縦断的研究)

<トレイルメイキングテストについて>

プレイ前後に実施したトレイルメイキングテストはワーキングメモリ・複数課題遂行能力を測るテストです。Aタイプ、Bタイプともに回答時間が早いほど能力が高いと言えます。

TMT-Aタイプは1から25までの数字を順番にできるだけ早く線でつなぐ時間を測定するもので「視覚性探索能力・配分性注意、持続性注意、認知的処理能力」を主に測定します。
TMT‐Bは13個の数字と12個の平仮名が配列されたもので、数字ー平仮名を順番に線でつなぐ時間を測定するものです。「視覚性探索能力・ワーキングメモリ・配分性注意・認知的柔軟性・持続性注意・認知的処理力」を主に測定します。
難度はTMT-Bタイプの方が高く、課題遂行能力に必要な注意機能だけでなくワーキングメモリなどの短期的な記憶能力も必要となります。

トレイルメイキングテストで見られる「課題遂行能力」とは、例えば、学習場面では様々な学習に対する柔軟的思考や短期的な記憶能力に関連する能力、仕事場面では短期的な作業記憶であるワーキングメモリに関連している能力を測定できます。高齢者であれば歩行時における障害物をよけるために必要な注意機能・視覚探索能力などに関連しています。

ゲームプレイ後に「課題遂行能力」は向上する

プロ選手を対象に実験を行ったところ、プレイ前に比べプレイ後のTMTの回答時間はAタイプで39.33秒から20.93秒、Bタイプでは38.3秒から31.58秒と、いずれも短縮しています。【グラフ①】アマチュアの学生においてもプレイ前はAタイプ41.56秒から31.01秒、Bタイプで54.89秒から42.51秒と、プロと同様にいずれも時間が短縮する結果になりました。【グラフ②】いずれも、ゲームプレイにより課題遂行能力が向上したことがわかります。
プロと学生のプレイ前のデータを比較してみると、プロがAタイプ、Bタイプともに回答時間が早く、日頃からアマチュア学生よりも課題遂行能力が高いことがわかります。さらにプロはゲームプレイ後にはAタイプで18.4秒と大きな短縮が見られることから、アマチュア学生よりもプロは、よりゲームプレイの刺激によって課題遂行能力が高まることが考えられます。

継続的なゲームプレイにより日常における
「課題遂行能力」向上の可能性も

アマチュアの学生に日を変えて同じ検証を行った結果でも、TMT-Aタイプ、TMT-Bタイプのいずれにおいても、ゲームのプレイ前とプレイ後では課題遂行時間の短縮が見られました。【グラフ③】【グラフ④】継続的な検証結果でも、ゲームプレイによって課題遂行能力が向上するという結果を得られました。

また、プレイ前のデータを見ると、TMT-Aタイプでは1回目が41.56秒なのに対し、2回目は36.89秒と、通常時においても回答時間が短縮しており【グラフ③】、TMT-Bタイプでも1回目54.89秒、2回目48.56秒、3回目48.31秒と、回答時間が短縮されています。【グラフ④】特に成績の良い対象者ではプレイ前のデータで1回目から2回目で9.77秒の回答時間の短縮が見られました。
このことは、継続的かつ長期にゲームをプレイしていくことで、ゲームプレイのパフォーマンス向上だけではなく、ゲームプレイ以外の日頃の生活の様々なシーンでの課題遂行能力が向上する可能性を示しています。

今回の検証結果から、ゲームプレイにより、課題遂行能力の向上が見られました。
また、プロとアマチュア学生の課題遂行能力の違いや、継続的にゲームプレイすることによる課題遂行能力向上の可能性も示されました。
継続的なゲームプレイにより、ゲームのパフォーマンス向上だけではなく、日頃の生活での生産性の向上や教育分野等、幅広い領域への応用を具体化しながらゲームのすそ野を広げていきたいと思います。